衣装のファスナー:隠しファスナーとコンシールファスナーの付け方
衣装制作において、ファスナーは機能性だけでなく、デザインの美しさにも大きく影響します。 特に、隠しファスナーとコンシールファスナーは、その名の通り、縫い目からファスナーが見えないように仕上げることで、より洗練された印象を与えることができます。これらのファスナーは、フォーマルなドレスやブラウス、スカートなどに多く用いられます。
隠しファスナーとコンシールファスナーの違い
まず、隠しファスナーとコンシールファスナーという言葉は、しばしば混同されますが、厳密にはコンシールファスナーが隠しファスナーの一種と捉えることができます。
隠しファスナー
隠しファスナーは、ファスナーの務歯(スライダーを動かす部分)が表から見えないように、布で覆い隠すように縫い付けられたファスナー全般を指します。これには、コンシールファスナー以外にも、ファスナーの務歯の上にフラップを付けて隠す方法なども含まれます。しかし、一般的に「隠しファスナー」と言う場合、コンシールファスナーを指すことが多いです。
コンシールファスナー
コンシールファスナーは、隠しファスナーの中でも、特にファスナーの務歯が特殊な形状をしており、縫い代に隠しやすいように設計されたものです。務歯の色も、生地の色に合わせて染色されているものが多く、より目立たずに仕上がります。コンシールファスナーを付けることで、ファスナー部分がほとんど見えなくなり、まるでファスナーがないかのような、滑らかな仕上がりになります。
コンシールファスナーの付け方
コンシールファスナーを綺麗に付けるには、いくつかのポイントがあります。
準備するもの
- コンシールファスナー
- ミシン
- コンシールファスナー押え(ミシンに付属しているか、別途購入します)
- まち針
- チャコペン
- アイロン
- 裁ちばさみ
手順
- 型紙の準備と裁断:コンシールファスナーを付ける部分の型紙を確認し、指定通りの生地を裁断します。ファスナーを付ける箇所には、縫い代を通常よりも多めに取っておくと、後々の作業がしやすくなります。
- ファスナー位置の印付け:コンシールファスナーを付ける縫い代部分に、ファスナーの端が来る位置をチャコペンで正確に印付けします。
- ファスナーの仮止め:コンシールファスナーの務歯を表側にして、印付けした縫い代の端に合わせます。この時、ファスナーの務歯が縫い代から0.1cm〜0.2cm程度出ないように注意します。まち針でしっかりと固定します。
- コンシールファスナー押えへの付け替え:ミシンにコンシールファスナー押えを取り付けます。この押えは、務歯を溝に挟み込んで、務歯のすぐ横を縫えるように設計されています。
- 片側を縫う:コンシールファスナーの片側を、務歯のすぐ横を狙って縫っていきます。務歯の右側(右利きの場合)から縫い始め、務歯の左側に溝が来るように押えを調整しながら、務歯に沿って下まで縫い進めます。
- 反対側を縫う:生地を裏返し、コンシールファスナーのもう片側を、同様に務歯のすぐ横を縫います。
- ファスナーの開閉と確認:ファスナーを開閉し、スムーズに動くか、務歯が生地に引っかかるところがないかなどを確認します。
- 縫い代の処理:務歯の横を縫い終わったら、縫い代をアイロンで割るか、片側に倒します。生地の表側から見て、ファスナーの務歯がほとんど見えない状態になっていれば成功です。
- 表側から押さえミシン:必要であれば、表側からファスナーの端を押さえるために、務歯から2〜3mm程度の位置に飾りやステッチを入れることもありますが、コンシールファスナーの場合は通常、この工程は不要です。
隠しファスナー(コンシールファスナー以外)の付け方
コンシールファスナー以外の隠しファスナーを付ける場合、務歯を覆い隠すためのフラップを別途作成し、縫い付ける工程が追加されます。
手順の概略
- ファスナーの取り付け:コンシールファスナーと同様に、務歯が生地の表から見えないように仮止めし、片側を縫い付けます。
- フラップの作成:表生地と裏生地を用意し、ファスナーを覆い隠すためのフラップを作成します。
- フラップの取り付け:作成したフラップを、ファスナーの反対側に表から隠れるように縫い付けます。
- ファスナーのもう片側を縫う:フラップで隠れるように、ファスナーのもう片側を生地に縫い付けます。
- 最終確認:ファスナーの開閉を確認し、フラップがファスナーを綺麗に覆い隠しているか確認します。
この方法は、コンシールファスナーほどの目立たなさは期待できませんが、手に入りやすいファスナーで隠すことができる利点があります。
きれいに仕上げるためのヒント
- アイロンを丁寧にかける:縫い代やファスナーの位置を決める際に、アイロンを丁寧にかけることで、仕上がりが格段に向上します。
- まち針を多めに使う:ファスナーがずれないように、まち針は惜しまず使いましょう。
- 生地の種類に合わせた糸を選ぶ:光沢のある生地には細めの糸、厚手の生地には丈夫な糸を選ぶなど、生地の特性に合わせた糸を選ぶことが重要です。
- 練習を重ねる:コンシールファスナーの取り付けは、慣れが必要です。何度か練習することで、コツが掴めてきれいに仕上げられるようになります。
- ファスナーの種類を理解する:コンシールファスナーには、長さや色、務歯の素材など様々な種類があります。作りたい衣装に合ったファスナーを選ぶことが大切です。
まとめ
隠しファスナー、特にコンシールファスナーは、衣装のデザインを引き立て、よりプロフェッショナルな仕上がりを実現するための重要なテクニックです。正しい手順と丁寧な作業、そして何度かの練習を通して、あなたの衣装をさらに美しく仕上げてください。
