クマのプーさん (岩波少年文庫 8)詳細
クマのプーさん (岩波少年文庫 8)口コミ
平易な文章で、分かりやすく、読了後はほのぼのとした気分になれる、そんな一冊です。
この絵、この線、この語りが、ホンモノのプーさんです。映画にして、わかりやすく面白いキャラクターと筋書きを作るのは必要ないんだ、違うものなんだと痛感しました。
ドジで間抜けだったり、臆病だったり、頭でっかちだったり、陰気だったりする森の動物たちだけど、ほほえましく、この上なく愛おしい。神様から見れば人間もこのようなものでしょう。本作がディズニーに魂を売ったことを深く遺憾とするものです。どうかお子さんには本物にふれさせてあげて下さい。
子どもと一緒に読んでいます。
A・A・ミルン(作家)によって書かれた小説「クマのプーさん」(1926年)。ミルンの実子のクリストファー・ロビン・ミルンをモデルにして書かれた小説だ。クリストファー・ロビンが自然の中で、動物たちと過ごす日々が描かれている。「児童文学」の傑作などと言われているが、実際のクリストファー・ロビンはこの本のせいで、学校で苛め(虐め)に遭ったりして、そのせいで父親を憎んでいたと言われる。そういう側面に配慮しながら、この作品を理解する必要があるのだろうと思っている。読もうと思ったきっかけは、小学生の頃にディズニー映画「くまのプーさん 完全保存版」をビデオで見たり、当時のディズニータイムで「新くまのプーさん」を見たりなどしていたからだ。ディズニーの影響力はやっぱり凄まじい。僕は幼い頃からディズニーに影響されてきた人間だが、ディズニー映画の原作(小説)はどれもなかなか面白い。世界のアニメーション映画の先駆的存在だったディズニー。この作品については、イギリスの自然を舞台として取り上げている。自然描写についてはそんなに悪くはないだろう。しかし、ミルンはこの本以外になかなかヒット作に恵まれず、作家としての才能に疑問が持たれている。物語はのんびりとはしているが、そこまで良い作品とは思わない(思えない)。ミルン一家の親子関係に亀裂を生じさせてしまった小説だという事実に違いないのだ。