Amazon Kids+(アマゾン・キッズ・プラス)は、Amazonが提供する、3歳から12歳の子ども向けに特化した、定額制のコンテンツサブスクリプションサービスです。
月額または年額の料金を支払うことで、数千点にのぼる子ども向けの書籍(絵本、児童書、学習マンガ)、ビデオ(アニメ、映画、知育番組)、学習アプリ、ゲーム、Audible(オーディオブック)が、すべて使い放題になります。
Amazon Kids Plusアマゾン・キッズ・プラス
このサービスの最大の目的は、子どもたちにエンターテイメントと学習の機会を提供すると同時に、保護者が安心して子どもにデバイスを渡せる「安全なデジタル環境(ウォールド・ガーデン)」を構築することです。
ここでは、Amazon Kids+のサービス詳細、料金プラン、そしてその中核をなすペアレンタルコントロール機能について詳しく解説します。
1. 【最重要】「Amazon Kids」と「Amazon Kids+」の決定的な違い
Amazon Kids+を理解する上で、最も重要なのが「Amazon Kids」(無料)との違いです。この2つは密接に関連していますが、役割が全く異なります。
- ① Amazon Kids(無料)
- これは、「ペアレンタルコントロール(利用制限)」機能を提供するソフトウェア・プラットフォームそのものです。
- Fireタブレットやスマートフォン(iOS/Android)、Kindle端末などにこのアプリ(または機能)をインストールし、子ども用のプロフィールを作成します。
- 機能: 1日の利用時間制限、利用時間帯(ベッドタイム)の設定、Webブラウザのフィルタリング、アプリや動画の利用制限、購入機能のブロックなど。
- 位置づけ: 子ども用の「安全なコンテナ(入れ物)」を作るための無料の管理ツールです。
- ② Amazon Kids+(有料)
- これは、「コンテンツ」のサブスクリプションサービスです。
- 機能: 数千点の書籍、ビデオ、アプリ、ゲーム、Audibleが使い放題になります。
- 位置づけ: 上記の「安全なコンテナ」の中に流し込む、**有料の「中身(コンテンツ)」**です。
結論として、まず無料の「Amazon Kids」で子どもの安全な利用環境を構築し、その上で「Amazon Kids+」に登録(課金)することで、その環境内でコンテンツが使い放題になる、という仕組みです。
2. 料金プランと無料体験
Amazon Kids+の料金は、Amazonプライム会員であるかどうかで大きく異なります。
- プライム会員の圧倒的優位性: プライム会員(月額600円または年額5,900円)であれば、月額・年額ともに半額以下という非常に割安な価格で利用できます。年額プランの場合、実質2ヶ月分が無料になります。
- 無料体験:
- 初めて登録する場合、30日間の無料体験が利用可能です。
- Fireタブレット キッズモデル:
- Amazonが販売する「Fire HD キッズモデル」または「Fire HD キッズプロ」のタブレットには、頑丈な保護ケース、2年間の限定保証に加え、1年間のAmazon Kids+利用権が付属しています。このため、初期導入としてはキッズモデルの購入が最もお得になるケースが多いです。
3. 提供されるコンテンツの詳細
Amazon Kids+の最大の魅力は、そのキュレーション(厳選)されたコンテンツライブラリです。
- 書籍(数千冊の児童書):
- 絵本、児童文学(『ハリー・ポッター』シリーズなど)、学習マンガ(『日本の歴史』など)、図鑑、ドリル、英語の絵本まで幅広くカバーしています。
- Gakken(学研)、講談社、小学館など、日本の主要な出版社がコンテンツを提供しています。
- ビデオ(アニメ・映画・知育番組):
- 『しまじろう』『ポケットモンスター』『Peppa Pig(ペッパピッグ)』といった人気のアニメや、『パウ・パトロール』などの知育番組、Amazon Kids+オリジナルの番組も見放題です。
- アプリ・ゲーム(数百の知育アプリ):
- 【重要】広告なし・アプリ内課金なし: これが保護者にとって最大のメリットの一つです。Kids+経由で提供されるアプリやゲームは、追加の課金(ガチャなど)や不適切な広告がすべて排除されています。子どもが勝手に高額な課金をしてしまう心配がありません。
- プログラミング学習、計算ゲーム、パズル、お絵かきアプリなどが揃っています。
- Audible(オーディオブック):
- 数百冊の子ども向けオーディオブック(物語や児童書)が「聴く読書」として提供されます。寝る前の読み聞かせなどにも活用できます。
4. 強力なペアレンタルコントロール機能(Amazon Kids)
Kids+のコンテンツが流し込まれる「Amazon Kids」プラットフォームには、業界最高水準のペアレンタルコントロール機能が搭載されています。
- 年齢フィルター:
- 子どもの年齢(例:3~5歳、6~8歳、9~12歳)を設定すると、その年齢に適したコンテンツのみが自動的に表示されます。
- 利用時間制限(1日の合計時間):
- 「平日は1時間まで」「週末は2時間まで」といった形で、1日にデバイスを利用できる合計時間を設定できます。
- コンテンツごとの時間制限:
- 「読書(書籍)は時間無制限」「アプリとゲームは合計1時間まで」「ビデオは1時間まで」と、コンテンツの種類ごとに個別の利用時間を設定できます。
- 学習タイムの目標(”Learn First”):
- 「読書の目標を30分達成するまで、ゲームやビデオをロックする」という強力な機能です。遊びの前に学習を促すことができます。
- ベッドタイム(利用時間帯の設定):
- 「夜9時から朝7時まではデバイスを利用不可にする」といった設定が可能です。就寝時間を守らせるのに役立ちます。
- 安全なWebブラウザ:
- Amazonが精査した子ども向けの安全なWebサイトのみを表示する専用ブラウザが提供されます。保護者が個別に特定のWebサイトを追加で許可することも可能です。
- ペアレントダッシュボード:
- 保護者は自分のスマートフォンやPCから「ペアレントダッシュボード」にアクセスできます。
- 子どもが「どのコンテンツを」「どれくらいの時間」利用したかを詳細に確認できるほか、上記すべての設定を遠隔で変更できます。
5. 対応デバイス
Amazon Kids+は、Amazonのデバイスだけでなく、主要なスマートフォンやタブレットでも利用できます。
- Fireタブレット(キッズモデル / 通常モデル): 最も親和性が高いデバイス。特にキッズモデルは購入と同時に最適化されています。
- Kindle電子書籍リーダー: Kids+の「書籍」コンテンツのみが利用可能です。読書に集中させたい場合に適しています。
- Echo端末(スマートスピーカー): Kids+の「Audible(オーディオブック)」や子ども向けスキル(Alexaスキル)が利用できます。
- Fire TVシリーズ: テレビの大画面でKids+の「ビデオ」コンテンツを視聴できます。
- iOSデバイス(iPhone / iPad): App Storeから「Amazon Kids+」アプリをダウンロードして利用できます。
- Androidデバイス(スマートフォン / タブレット): Google Playストアから「Amazon Kids+」アプリをダウンロードして利用できます。
6. メリットと注意点
メリット
- 安全な環境: 広告や追加課金がなく、不適切なコンテンツから隔離されているため、安心して子どもに渡せます。
- 圧倒的なコストパフォーマンス: 特にプライム会員であれば、月額480円で数千点の良質なコンテンツが使い放題になります。
- 強力な利用管理: 「学習タイムの目標」や詳細な時間制限により、単なる「遊び道具」で終わらせない仕組みが作れます。
- マルチデバイス対応: 1つの契約で、兄弟それぞれが持つデバイス(FireタブレットとiPadなど)で同時に利用可能です(※プランにより同時利用台数の制限あり)。
注意点
- 非プライム会員は割高: プライム会員でない場合の料金(月額980円)は、他のサブスクリプションと比較して割高に感じる可能性があります。
- 最新・流行のコンテンツが全てあるわけではない: あくまで「キュレーション(厳選)された」ライブラリです。『フォートナイト』や『マインクラフト』、YouTubeの最新動画など、子どもが熱望する流行のコンテンツが必ずしも含まれているわけではありません。
- コンテンツの管理: コンテンツが膨大すぎるため、保護者が「ペアレントダッシュボード」である程度、利用状況を把握・管理する意識は必要です。
7. まとめ
Amazon Kids+は、単なる「子ども向け動画・ゲーム見放題サービス」ではありません。それは、強力なペアレンタルコントロール(Amazon Kids)という土台の上に、広告や課金の心配がない良質なコンテンツ(Kids+)を提供する、統合的な「デジタル育児支援サービス」です。
特にAmazonプライム会員で、3歳から12歳の子どもに安全なデジタル環境を与えたいと考える保護者にとって、月額480円は非常に価値のある投資となるでしょう。

