ボードゲームの安全基準:小さな部品への注意
ボードゲームは、家族や友人との楽しい時間を演出する一方で、特に小さなお子様が遊ぶ場合には、安全への配慮が不可欠です。その中でも、小さな部品は、誤飲や窒息のリスクを伴うため、製造者、販売者、そして保護者それぞれが、その危険性を十分に理解し、適切な対策を講じる必要があります。
小さな部品の危険性
小さな部品がもたらす危険性は、主に誤飲と窒息に集約されます。
誤飲のリスク
ボードゲームには、コマ、ダイス、コイン、カードのトークンなど、非常に小さな部品が多く含まれています。これらは、幼いお子様が口に入れてしまう可能性が十分にあります。口に入れた部品は、喉を通り、食道から胃へと移動しますが、その過程で気道に詰まってしまうと、窒息という命に関わる事態を引き起こす可能性があります。特に、3歳未満のお子様は、口に物を持っていく癖があるため、一層の注意が必要です。
窒息のリスク
誤飲した部品が気道に詰まることで、窒息が発生します。窒息は、酸素が脳に届かなくなり、短時間で深刻なダメージを与え、最悪の場合、死に至らしめることもあります。小さな部品の形状や大きさによっては、気道にぴったりと収まってしまい、取り除くことが極めて困難になる場合もあります。
安全基準と規制
このような危険性を踏まえ、各国・地域ではボードゲームの安全基準が定められています。
国際的な安全基準
EN71(欧州連合)やASTM F963(米国)といった国際的な安全基準では、おもちゃに含まれる小さな部品のサイズや形状に関する具体的な規制が設けられています。これらの基準では、誤飲の危険性がある部品として、特定のサイズ(例えば、直径31.7mm未満、長さ31.7mm未満で、かつ幅が7.1mm未満の円筒形部品など)に該当するものが定義されており、これらの部品は、対象年齢が指定されている場合、一定の試験に合格する必要があります。
日本国内の規制
日本国内では、食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」や、消費者安全法に基づく「家庭用品規制法」など、関連する法律や規制が存在します。特に、おもちゃに関する規制では、STマーク(Safe Toy Mark)制度が重要です。STマークは、日本の玩具安全基準に適合していることを示すマークであり、日本玩具協会が定めたST基準に沿って、製品の安全性が評価されます。ST基準でも、小さな部品に関する明確な規定があり、対象年齢に応じて、誤飲や窒息の危険性がある部品の有無などが検査されます。
製造者・販売者の責任
ボードゲームの製造者や販売者は、これらの安全基準を遵守する義務があります。
部品の設計と素材
製造者は、製品の設計段階から、小さな部品の形状やサイズに細心の注意を払う必要があります。誤飲や窒息のリスクを最小限に抑えるためには、部品を大きくする、あるいは、誤飲しても気道に詰まりにくい形状にするなどの工夫が求められます。また、使用する素材についても、有害物質を含まない、安全なものを選ぶ必要があります。
対象年齢の明記と注意喚起
製品には、対象年齢を明確に表示することが義務付けられています。これは、保護者が、お子様の年齢や発達段階に応じて、適切なボードゲームを選択するための重要な情報となります。また、小さな部品が含まれている製品については、「小さな部品があります。誤飲・窒息の危険がありますので、3歳未満のお子様には絶対に与えないでください。」といった、明確な注意喚起表示を、製品パッケージや取扱説明書に記載することが求められています。
販売後の情報提供とリコール対応
販売者は、製造者から提供された安全情報をお客様に適切に伝える責任があります。万が一、製品に安全上の問題が発見された場合には、迅速なリコール対応を行い、市場から製品を回収するなどの措置を講じる必要があります。
保護者の役割と注意点
ボードゲームの安全性を確保するためには、保護者の積極的な関与が不可欠です。
製品の選択
ボードゲームを購入する際には、まず対象年齢を確認することが最も重要です。お子様の年齢に合わない、あるいは、小さすぎる部品が含まれている製品は避けるべきです。パッケージに記載されている注意喚起表示をよく読み、内容を理解してから購入するようにしましょう。
遊び方と環境の整備
お子様がボードゲームで遊ぶ際には、必ず保護者が目を離さないようにしましょう。特に、小さなお子様が一人で遊ぶ場合は、誤飲のリスクが高まります。遊ぶ場所も、小さな部品が散らかりにくく、お子様が安全に遊べる環境を整えることが大切です。
部品の管理
遊び終わった後は、全ての部品が揃っているか確認し、小さな部品は、お子様の手の届かない場所に厳重に保管することが重要です。部品が紛失していないか、定期的にチェックすることも、安全管理の一環として有効です。
代替案の検討
もし、お子様がどうしても小さな部品を口に入れてしまう癖がある場合は、対象年齢がより高い製品であっても、一時的に保護者と一緒に遊ぶか、あるいは、部品が大きめに作られている知育玩具などを検討することも、安全を最優先する上での賢明な選択と言えるでしょう。
まとめ
ボードゲームの安全基準、特に小さな部品への注意は、製造者、販売者、そして保護者の三者それぞれの責任において、適切に実施される必要があります。製品の設計段階からの安全性の確保、明確な情報提供、そして、保護者による適切な管理と監督があってこそ、ボードゲームは、真に楽しく、そして安全なエンターテイメントとして、子供たちの成長を支えることができます。これらの安全対策を怠ることなく、ボードゲームの持つ魅力を最大限に享受できるよう、常に意識を高めていくことが重要です。
